膵臓は消化と血糖調節の両機能を担う脊椎動物に普遍的な器官とされていますが、構造や機能は動物種によって大きく異なります。諸角らはイベリアトゲイモリを用いて、膵臓の構造と発生過程の解析を行いました。イモリの膵臓は哺乳類と同様に一つの独立した器官として形成されました。加えて、有尾両生類特有の腸管上に膵臓様組織を持っていました。また発生過程では膵芽が融合して膵臓が形成される様子や、Pdx1 遺伝子機能の働きを示しました。さらに、これまでに一部の魚類にしか見つかっていなかった Pdx2 遺伝子をイモリが有することを発見しました。本研究は脊椎動物の膵臓が原始的な消化機能から血糖値調節担う複合的な独立器官への進化過程を理解する上でも重要な成果となりました。

Morozumi R, Okamoto K, Enomoto E, Tsukamoto Y, Kyakuno M, Suzuki N, Tazawa I, Furuno N, Ogino H, Kamei Y, Matsunami M, Shigenobu S, Suzuki K, Uemasu H, Namba N, Hayashi T. Urodele amphibian newt bridges the missing link in evo-devo of the pancreas. Dev Dyn. 2025 Jan 8. doi: 10.1002/dvdy.763. Epub ahead of print. PMID: 39777819.

https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dvdy.763